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業務災害

[ 基本用語 ] 2023年9月06日

業務災害とは、労働者の業務上の負傷、疾病、傷害、または死亡のことを指し、業務が原因となった災害で、業務と傷病等との間に一定の因果関係があることをいいます。
この業務災害に対する保険給付は、労働者が労働関係のもとにあった場合に起きた災害でなければなりません。

【業務上の負傷について】
① 事業主の支配・管理下で業務に従事している場合
所定労働時間内や残業時間内に事業場において業務に従事している場合が該当します。この場合、被災労働者の業務としての行為や事業場の施設・設備の管理状況等が原因となって発生するものと考えられるため、特段の事情がない限り業務災害と認められます。なお、次の場合には業務災害と認められません。
(1) 労働者が就業中に私用(私的行為)を行い、または業務を逸脱する恣意的行為をしていて、それらが原因となって災害を被った場合
(2) 労働者が故意に災害を発生させた場合
(3) 労働者が個人的な恨みなどにより第三者から暴行を受けて被災した場合
(4) 地震、台風など天災地変によって被災した場合(ただし、事業場の立地条件や作業条件により、天災地変に際して災害を被りやすい業務の事情があるときは業務災害と認められます)

② 事業主の支配・管理下にあるが業務に従事していない場合
昼休みや就業時間前後に事業場施設内にいて業務に従事していない場合が該当します。施設内にいる限り、事業主の支配管理下にあると認められますが、休憩時間内や従業前後は実際に業務をしているわけではないので行為そのものは私的行為です。
ただし、事業場の施設・設備や管理状況などがもとで発生した災害は業務災害となります。

③ 事業主の支配にあるが、管理下を離れて業務に従事している場合
この場合、出張や社用での事業場施設外で業務に従事している場合が該当し、管理下を離れてはいるものの労働契約に基づき事業主の命令を受けて仕事をしているため、事業主の支配下にあるといえます。仕事の場所はどこであっても積極的な私的行為を行うなど特段の事情がない限り、一般的には業務災害と認められます。

【業務上の疾病について】
疾病については、業務との間に相当因果関係が認められる場合(業務上疾病)に労災保険の対象となります。業務上疾病とは、事業主の支配下にある状態において有害因子にばく露したことによって発症した疾病のことをいいます。以下の3要件が満たされる場合には原則として業務上疾病と認められます。

① 労働の場に有害因子が存在していること
この場合の有害因子は、業務に内在する有害な物理的因子、化学物質、身体に過度の負担のかかる作業様態、病原体等の諸因子を指します。
② 健康障害を起こしうるほどの有害因子にばく露したこと
健康障害を起こすのに足りるばく露があったかが重要になるため、ばく露条件の把握が必要となります。
③ 発祥の経過及び病態
発祥の時期は有害因子へのばく露中またはその直後のみに限定されるものではなく、有害因子の物質やばく露条件等からみて医学的に妥当なものでなければなりません。

※このページは2023年9月06日時点の情報を元に執筆されています。最新の情報とは異なる場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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