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労働災害としての精神疾患への対応

[ 労働保険関連のお仕事 ] 2012年4月12日

精神疾患が業務に起因する労働災害であれば、疾患による労務の提供不能を理由に労働者を解雇するには労働基準法19条(解雇制限)の制約があります。また、発症について使用者に過失(長時間の残業や過酷な任務等)があれば、債務不履行もしくは不法行為による損害賠償義務を負うことになります。

業務に起因するか否かは、業務と疾病との間に相当因果関係があるかによって判断されますが、精神疾患は多様な要因が複合する為相当因果関係の有無の判断に困難が伴うことが多く、使用者と労働者の認識が異なれば、その後の処遇をめぐって争われたケースもあります。

旧労働省は平成11年「心理負荷による精神障害等にかかわる業務上外の判断指針」を示し、平成21年にはこれを因果関係の基準を緩和する方向で指針を改正し、さらに23年、職場のセクハラ、パワハラ等をも考慮した新たな認定基準「心理的負荷による精神障害の認定基準」を示しました。
使用者は、この基準を参考に疾患と業務との関係を判断していくことになります。

このように判断指針が見直された結果、例えば私病として発症した精神疾患がその後の過重な勤務等で増悪したような場合、以前は労災認定は否定されるのが一般でしたが、一定の要件の下で増悪した範囲につき業務起因性を肯定する余地があるとし、労災として認められる可能性も考えられます。

使用者はこれまで以上に長時間労働には気をつけ、36協定の限度時間を見直すなど労働環境について配慮することが求められていきます。セクシュアルハラスメントについても、社内教育や相談窓口の設置・周知について積極的に行っていきましょう。

※このページは2012年4月12日時点の情報を元に執筆されています。最新の情報とは異なる場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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